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管理はつらいよ お部屋編①トイレが水浸し

・管理に関するあれこれ

田中 康寛

筆者 田中 康寛

不動産キャリア25年

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「トイレが水浸しやねん!!」緊急出動したら、まさかの原因でした


今回は、賃貸マンションの管理をしていると時々起こる、

「これはヤバい!」と思って現場へ飛んで行ったのに、原因を見た瞬間に力が抜けた話

をご紹介します。

ある日のこと。

入居者さんから、かなり慌てた様子で電話が入りました。

「トイレの床が水浸しやねん!!」

「大変なことになってんねん!!」

「水漏れや!はよ直してくれ!!」

声の勢いからして、かなりの緊急事態です。

水漏れ。

これは管理会社としても怖い言葉です。

なぜなら、トイレから大量に漏水しているとなれば、問題はその部屋だけでは済まない可能性があるからです。

階下に水が回れば、天井やクロス、照明、家具などにも被害が出る可能性があります。

「これは急がなあかん」

ということで、早速現地へ向かいました。



その前に、トイレタンクの仕組みを少しだけ


今回の話を理解していただくために、まず一般的なタンク式トイレの仕組みを簡単にご説明します。

トイレの後ろには、水を溜めておくタンクがあります。

レバーを回すと、タンクの中に溜まっている水が一気に便器へ流れ込み、その水の力で汚物を流します。

仕組み自体は、意外とシンプルです。

タンクの底には、便器へ水を流すための穴があります。

普段はその穴を、

ゴムフロート、フロートバルブなどと呼ばれるゴム製の部品

が塞いでいます。

レバーを回すと、そのゴム製部品が持ち上がって穴が開き、タンク内の水が便器へ流れます。

水が減ると、

今度はタンク内のボールタップなどが給水を開始します。

そして、タンク上部に手洗い部分があるタイプでは、その給水の一部が手洗い鉢から流れます。

タンクが満水になると、浮き玉などの仕組みで給水が止まります。

また、万一給水が止まらなくなった場合でも、タンクから水が溢れにくいよう、余分な水を便器側へ逃がす仕組みもあります。

よく、

「便器の中で水がチョロチョロ流れ続けている」

という症状がありますが、

ゴムフロートがきちんと閉じていなかったり、

ボールタップなど給水側の部品に不具合があったりするケースがよくあります。

そして今回、覚えておいていただきたいポイントが一つ。

タンクに水が溜まり切るまでは、

手洗い部分から水が出続けることがあります。

ここ、大事です。



現場到着。トイレの床、一面水浸し

急いで現地へ到着。

トイレを見てみると、

本当に床一面が水浸し。

私の頭の中では、

漏水注意報発令。

すぐに色々な可能性を考えます。

「給水管か?」

「止水栓周辺か?」

「タンクと便器の接続部分か?」

「便器と床の間から漏れているのか?」

「排水側のパッキンか?」

頭の中で原因候補がどんどん出てきます。

同時に、

「階下へ漏れてないか?」

「トイレから廊下まで水が回ってないか?」

「床下に入ってないか?」

こちらも確認します。

入居者さんは横で、

「はよ直してくれ!!!」

かなりお怒りです。

こちらとしても、

「分かってます。今見てますから」

という気持ちです。

そして原因を探します。



ん?

ここで、トイレタンクの上に目が行きました。

手洗い鉢のところに、

よくある置き型のトイレ用洗浄剤が置かれています。

いわゆる、

手洗い部分に置いて、水が流れるたびに洗浄成分がタンクへ入っていくタイプ

です。

でも、

何かがおかしい。

よく見ると……

上下逆。

「え?」

もう一度見ます。

やっぱり逆。

しかも、その洗浄剤の形が絶妙でした。

上側になるはずの部分が丸くなっており、

それが手洗い鉢の排水口に、

ちょうど良い感じでピッタリはまっている。

完全に蓋です。



水、下のタンクに流れてへんやないかい!!!

本来なら、

手洗い鉢から出た水は、

排水口を通ってタンクの中へ落ちていきます。

ところが、

置き型洗浄剤が上下逆に置かれ、

排水口をほぼ塞いでいる。

タンクはまだ満水ではありません。

つまり、

給水は止まりません。

手洗い鉢からは水が出続けます。

でも下へ落ちない。

どうなるか。

溜まる。

溢れる。

床へ流れる。

……

そら水浸しになるわ!!!

漏水ちゃうやん。

給水設備の故障ちゃうやん。

便器のパッキンでもないやん。

手洗い鉢の排水口、塞いでるだけやん!!!

しかも、

かなり上手に塞いでいます。

いや、

上手に塞がんでええねん。



秒で解決しました・・・

洗浄剤を正しい向きに戻して、

排水口を開ける。

すると、

当然ですが、

水は普通にタンクへ流れていきます。

床を拭けば終了。

あれだけ、

「水漏れや!」

「大変や!」

「はよ来て!」

と言われ、

階下漏水まで覚悟して現地へ飛んできたのに、

原因判明から解決まで、

ほぼ秒。

こっちは、

現場へ向かう道中、

最悪の場合は水道業者、

内装業者、

階下への謝罪、

保険対応まで頭の中で考えていました。

それが、

洗浄剤をひっくり返して終了。



そして入居者さんの一言

原因をご説明すると、

入居者さんが一言。

「ああ、そうやったんか。」

「気ぃつかへんかったわ。」

……

いや、

もうちょっとあるやろ。

「ごめん」とか。

「わざわざ来てもらって悪かったな」とか。

何かあるやろ!!!

こちらは結構焦って来ております(笑)

もちろん、

解決したので良かったんですが。

これも管理業務です。



水漏れの連絡は、管理会社も本気で焦っています

入居者さんからすると、

「管理会社なんやから直しに来て当然」

と思われるかもしれません。

もちろん、

建物設備の故障や貸主側で対応すべき不具合であれば、必要な対応を行います。

特に漏水は、

対応が遅れると被害が広がる可能性があります。

だから管理会社も、

電話一本でかなり緊張します。

水が漏れている。

焦げ臭い。

ブレーカーが落ちる。

ガス臭い。

こういった連絡は、

「また後で見ます」

では済ませにくいものです。

今回も、

本当に給水設備の故障だった可能性はあります。

結果として原因が簡単だっただけで、

現地確認するまでは分かりません。


入居者さんと管理会社は、持ちつ持たれつ

賃貸住宅に住んでいる方の中には、

「家賃を払っているんだから、自分はお客様」

という感覚を強く持っている方もいます。

もちろん、

家賃をいただいている以上、

貸主側・管理会社側には、

適切に建物を管理し、

必要な修繕や対応を行う責任があります。

私たちも、

入居者さんにはできるだけ快適に暮らしていただきたいと思っています。

法律や契約内容、

原状回復の考え方などを確認しながら、

現場ではある程度柔軟に対応することもあります。

でも、

私は、

管理会社と入居者さんは「敵と味方」の関係ではない

と思っています。

困ったときには連絡してもらう。

こちらも必要なときは協力をお願いする。

お互いに常識的な範囲で話をする。

この関係が一番うまくいきます。



本当に困ったときこそ、普段の関係が大事

設備故障、

漏水、

騒音、

近隣トラブル、

鍵の紛失、

設備の使い方。

賃貸住宅に住んでいると、

何かしら困ることはあります。

そういうとき、

管理会社は基本的には、

問題を解決するために動く側

です。

だからこそ、

普段から、

怒鳴る、

無理な要求をする、

何でも管理会社の責任にする、

という関係より、

「ちょっと見てもらえますか?」

「分かりました。確認しますね。」

と話せる関係の方が、

結局は双方にとって良いと思います。

管理会社の中の人も人間です。

本当に困っている方には、

何とかしてあげたいと思ってます。



管理はつらいよ

今日の教訓

今回の教訓は二つ。

一つ目。

トイレの手洗い鉢に置く洗浄剤は、正しい向きで設置しましょう。←これ大事

そしてもう一つ。

水が溢れていても、

必ずしも設備故障とは限りません。

まずは、

どこから水が出ているのか。

何か排水口を塞いでいないか。

止水栓を閉められるか。

このあたりを確認すると、

意外と簡単に原因が分かることもあります。

ただし、

原因が分からない場合や、

床下・階下への漏水が疑われる場合は、

無理に触らず、早めに管理会社へ連絡してください。


今回も、

電話を受けた瞬間は、

「これは大変や!」

と思いました。

現場に着いても、

床一面水浸し。

ところが原因は、

上下逆に置かれたトイレ用洗浄剤。

管理をしていると、

本当に色々あります。

だから、

管理はつらいよ。

でも、

原因が分かって、

最後に普通にトイレが使えるようになれば、

まあ良しとしましょう。

……できれば、

次回からは正しい向きでお願いします(笑)

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