ゴミ屋敷になってますやんの画像

ゴミ屋敷になってますやん

・実録借地物件あれこれ

田中 康寛

筆者 田中 康寛

不動産キャリア25年

詳細はクリックを

実録・借地物件あれこれ


相続が二度発生し、ゴミ屋敷になった借地上の建物。それでも買い手が見つかった理由

借地上に建っている古い建物。外壁には雨も回って膨らんでいる。

しかも空き家。

室内には大量の残置物があり、現地を確認すると、いわゆる「ゴミ屋敷」に近い状態。

さらに、相続が一度ではなく二度発生していました。

こう聞くと、

「もう売れないのでは?」

と思われる方も多いかもしれません。

今回ご相談いただいたのは、まさにそんな物件でした。

ところが、最終的には一般の投資家ではなく、

“この場所だから欲しい”という買主を探すことで、解決への道筋が見えてきました。

今回は、相続・借地・空き家・残置物と、いくつもの問題が重なった事例をご紹介します。



もともとの相続人は兄と弟の2人

最初の相続では、相続人は兄弟2名でした。

相続内容については、

兄が不動産を相続し、弟が現金を相続する

という方向で話し合いが進められていたようです。

兄と弟の間では、過去に覚書のような書面も交わされており、

「不動産は兄」

「現金は弟」

という認識があったとのことでした。

ただし、相続については、単に家族間で念書や覚書があるからといって、必ずその内容だけで権利関係が確定するとは限りません。

実際の相続では、遺言の有無、遺産分割協議、登記状況などを確認する必要があります。

今回もまず、

現在誰が権利を持っているのか

を整理することから始まりました。



借地なのに「土地まで持てたら化ける」と考えていた兄

この建物は、自己所有の土地に建っているわけではありません。

借地上の建物でした。

ただし、立地には特徴がありました。

角地で、周辺からの利用頻度も高い場所。

兄は以前から、

「もし将来、この借地の土地そのものまで取得できたら、かなり価値が出るのではないか」

と考えていたようです。

たしかに、不動産は土地と建物を一体で所有できることで、利用方法の自由度が大きく変わるケースがあります。

特に角地であれば、

建替えや一体利用など、将来的な可能性が広がることもあります。

ところが、肝心の土地所有者には、

土地を売却する意思がありませんでした。

つまり、

兄が期待していた

「将来、底地も取得して完全所有権にする」

という構想は、簡単には実現できない状態だったのです。


その後、兄が亡くなり、二次相続が発生

さらに状況が変わります。

不動産を取得する予定だった兄が亡くなりました。

そして、その権利関係を兄の妻が引き継ぐことになります。

つまり、

最初の相続が完全に整理し切れていない中で、次の相続が発生した

という状態です。

こうなると、不動産の処分はさらに難しくなります。

相続というのは、一代で終わればまだ整理しやすいのですが、放置された状態で次の相続が発生すると、

関係者が増えたり、

書類確認が複雑になったり、

当時の事情を知っている人が少なくなったりします。

借地物件の場合は、さらに土地所有者との関係もあるため、

普通の所有権物件以上に慎重な整理が必要です。



現地を見に行くと、建物はゴミ屋敷状態

ご相談を受けて、まず現地を確認しました。

すると、建物は長期間使われていなかったため、

室内には大量の残置物。

建物自体もかなり傷んでおり、

そのまま賃貸に出せる状態ではありませんでした。

第一印象としては、

「これは簡単にはいかないな」

という状態です。

借地物件であるうえに、

残置物処分、

建物修繕、

相続関係、

土地所有者との調整。

問題が一つではありません。

ただ、こういう案件ほど、

一つずつ分解して考えることが大切です。


まずは「いくらかかるのか」を数字にする

最初に行ったのは、

残置物処分費の見積もり

でした。

室内に荷物が大量に残っている場合、

「片付ければいいだけ」

と思われる方もいます。

しかし、実際にはかなりの費用が必要になることがあります。

家財道具、

家具、

家電、

生活用品、

不要物など。

量によっては、売却価格に大きく影響します。

そこでまず、

残置物処分にいくら必要なのか。

次に、

建物を今後利用する場合、どの程度修繕費が必要なのか。

この2点を確認しました。



修繕して収益物件として売れるか?

次に検討したのは、

投資家向けの収益物件として販売できないか

という方法です。

借地上の建物でも、

家賃収入が十分取れるのであれば、収益物件として売買できる可能性があります。

そこで、

想定賃料、

リフォーム費用、

残置物処分費、

地代、

譲渡承諾料、

購入後の利回り

などを計算しました。

しかし、数字を積み上げていくと、

一般的な不動産投資家が買うには、

採算が合いにくい

という結論になりました。

購入後に修繕費がかかる。

借地なので地代も必要。

譲渡時には土地所有者との調整も必要。

さらに、建物自体も古い。

通常の投資家が求める利回りから逆算すると、

売主側が納得できる価格には届きません。

ここで、

「収益物件として売る」

という考えを一度捨てました。



借地物件は「誰に売るか」で価値が変わる

不動産の価格は、

誰が買っても同じ価値になるわけではありません。

例えば、投資家なら、

「いくら家賃が入るか」

を中心に考えます。

一方で、隣接地所有者や地元の事業者なら、

「将来、この土地と一体で使えるか」

という視点で考えることがあります。

そこで私たちは、

通常の収益物件市場ではなく、

この土地そのものに意味を感じる人を探す

ことにしました。



地元の名士に購入を打診

今回の土地は角地。

単体では借地上の古い建物ですが、

周辺の土地と組み合わせれば、将来的に使い道が広がる可能性があります。

そこで、地域事情をよく理解している方に相談しました。

地元で長く不動産を見てきた方であれば、

現在の建物の状態だけではなく、

「将来どう使えるか」

で判断してくれることがあります。

今回も、

将来的に隣地を取得できた場合、

土地を一体利用し、

現在より大きな建物に建て替えることができる可能性がある。

その将来性に価値を感じてもらい、

購入を検討していただくことになりました。



投資家には合わない物件でも、別の人には価値がある

この案件で改めて感じたのは、

不動産は「物件だけを見る」のではなく、「誰が使うか」を考えることが大切

だということです。

一般投資家から見ると、

古い、

修繕費がかかる、

借地、

残置物が多い、

利回りが出ない。

マイナス要素が多い物件でした。

しかし、

将来隣地を取得して一体利用したい方から見ると、

評価ポイントが全く変わります。

角地であること。

土地の形。

隣接地との関係。

将来の建替え。

地域性。

これらが価値になります。

つまり、

「売れない物件」ではなく、「買う人を間違えると売れない物件」

だったのです。


借地物件で大切なのは、地主との条件確認

もちろん、借地上の建物を売却する場合には、

土地所有者との調整も重要です。

今回も、

新しい地代はいくらになるのか

譲渡承諾料はいくらになるのか

などを事前に確認しました。

借地権の譲渡については、契約内容や法的関係によって地主の承諾等が問題になるため、個別確認が必要です。

買主を見つけた後で、

「地代が想定より大幅に上がった」

「譲渡条件がまとまらなかった」

となれば、取引そのものが成立しなくなる可能性があります。

だからこそ、

先に条件を確認し、その条件を踏まえて買主を探す。

この順番が大切です。



相続した借地物件は、放置するほど難しくなる

今回の物件は、

最初の相続、

兄弟間の話し合い、

兄の死亡、

二次相続、

長期間の空き家化、

残置物の増加、

建物の劣化。

時間が経つほど、問題が増えていきました。

借地物件の場合、

建物を使っていなくても地代は発生します。

建物が老朽化すれば修繕費も増えます。

さらに相続人が増えれば、意思決定も難しくなります。

「まだ困っていないから」

と放置するより、

早い段階で一度整理しておくこと

が大切です。



「この物件は売れない」と決めつける前に

借地物件のご相談を受けていると、

「古いから無理ですよね」

「借地だから売れないですよね」

「片付けるお金もないし、どうしようもないですよね」

と言われることがあります。

でも、今回のように、

一般の投資家では採算が取れない物件でも、

地域性や将来利用を考えれば、

別の買主が見つかることがあります。

もちろん、すべての物件が同じように解決できるわけではありません。

ただ、

借地だから

ゴミ屋敷だから

相続が複雑だから

という理由だけで、最初から諦める必要はありません。



借地物件の解決策は、一つではありません

借地物件には、

売却、

建物譲渡、

地主への返還、

底地との同時売却、

隣接地所有者への売却、

賃貸活用など、

さまざまな選択肢があります。

重要なのは、

その物件に合った「出口」を探すこと。

今回のように、

一般市場では評価されにくい物件でも、

地域を知っている人、

隣接地を所有する人、

将来一体利用したい人

にとっては、価値が変わることがあります。

株式会社真成エステートでは、

借地・底地・相続・空き家など、

「普通の売却では少し難しい」

という不動産のご相談も多くお受けしています。

「どう処分したらいいのか分からない」

という段階でも構いません。

まずは権利関係と費用を整理し、

その物件に合った解決方法を一緒に考えていきます。

借地物件は、売り方よりも“解決の組み立て方”が大切です。

”・実録借地物件あれこれ”おすすめ記事

  • 借地ってホントに問題ばかり?の画像

    借地ってホントに問題ばかり?

    ・実録借地物件あれこれ

  • 実録借地物件あれこれ(失敗例)の画像

    実録借地物件あれこれ(失敗例)

    ・実録借地物件あれこれ

  • 相続した借地の処分②の画像

    相続した借地の処分②

    ・実録借地物件あれこれ

  • 相続した借地物件の処分の画像

    相続した借地物件の処分

    ・実録借地物件あれこれ

もっと見る