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相続した借地の処分②

実録借地物件あれこれ

田中 康寛

筆者 田中 康寛

不動産キャリア25年

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賃貸中の借地物件、「もう管理できない」から始まったご相談。

高齢の入居者様が入居した状態で売却できた事例


不動産のご相談の中には、単純に「売りたい」「買いたい」だけではなく、


※年齢的な不安
※管理の限界
※借地ならではの難しさ
※入居者様への配慮


など、いくつもの問題が重なった案件があります。

特に、借地上の賃貸物件を所有されているオーナー様の場合、建物そのものの管理だけでなく、入居者対応や将来的なトラブルへの不安が大きな負担になりやすいものです。


「この先ずっと自分で見ていけるのか」

「何かあった時に対応できるのか」

「でも簡単に土地を返すこともできない」

――そうした悩みを抱えながら、どうすればよいかわからず時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。


 今回は、都島区で弊社が管理している土地上に建つ賃貸中の借地物件についてご相談いただいた事例をご紹介します。
ご相談者様は高齢のオーナー様で、管理を続けることに限界を感じておられました。しかし、借地物件であり、しかも賃貸中という事情から、「返すに返されへん」という切実なお悩みを抱えておられました。

最終的には、隣地の購入者へ“高齢の入居者様の権利を守る”ことを条件に売却することで、オーナー様の不安を解消しつつ、入居者様にも配慮した形で解決することができました。


まさに、地元で長く関わっているからこそ実現できた取引事例だったと感じています。


ご相談のきっかけは「もう年やし住んでるとこ遠いから、管理できない」


今回のご相談者様は、借地上の小さな戸建てを賃貸しておられるオーナー様でした。

お電話やお話の中で、最も強く感じられたのは、「物件そのものをどうこうしたい」というより、もう自分では管理しきれないという切実な思いでした。

実際にいただいたお言葉は、非常に率直なものでした。


「もう年やし住んでるとこ遠いから、管理出来ないわ。でも返すに返されへんからどうしよ…」


この一言には、借地物件を所有されている高齢オーナー様の現実的な悩みが詰まっています。

借地上の建物は、一般的な所有権物件と違って、単純に「いらないからやめる」「処分したいから返す」というわけにはいきません。
しかも今回は、空き家ではなく賃貸中の物件です。
そこには実際に生活をされている入居者様がおられ、その方の居住権や生活の安定も当然考えなければなりません。

つまり、今回の案件は単なる売却相談ではなく、


・オーナー様の管理負担をどう減らすか
・借地という制約の中でどう出口を作るか
・入居者様の立場をどう守るか


この3つを同時に考える必要がある案件でした。

困っていたのは「売れるかどうか」だけではなかった

今回のご相談で、特に大きな課題になっていたのは、オーナー様が今後トラブル対応を続けるのが難しいという点でした。

賃貸物件は、持っているだけで終わりではありません。
設備の不具合、近隣との関係、契約更新、家賃のこと、修繕の判断など、何かしらの管理対応が必要になります。
若い頃や元気なうちは対応できていたことも、年齢を重ねるにつれて負担が大きくなっていきます。

しかも今回は、1戸のみの小さな戸建て賃貸でした。
こうした規模の物件は、一棟マンションや複数戸のアパートと違い、管理会社にとっても採算が合いにくく、積極的に引き受けてもらえないケースがあります。


つまり、ご相談者様は

・自分では管理が難しい
・誰かに任せたくても引き受け先がない
・借地だから簡単に手放せない
・賃貸中だから入居者様のことも考えなければならない


という、非常に身動きの取りにくい状態におられました。

こういう案件は、表面的には「管理できないから売りたい」という話に見えても、実際には単純な早期売却だけでは解決しません。
誰に売るのか、どんな条件で売るのか、その先で入居者様がどうなるのかまで考えて初めて、本当に良い解決になります。

ご提案したのは「早期売却」と「入居者様の権利を守ること」の両立

今回、私たちがご提案したのは、単に早く売却することではありませんでした。
もちろんオーナー様にとっては、早期に管理負担から解放されることは大切です。
ただ、それだけを優先してしまうと、今度は入居者様の生活が不安定になる可能性があります。

そこで重視したのが、
「早期の売却」

「高齢の入居者様の権利を守ること」
の両立でした。

不動産の取引は、条件さえ合えば成立するというものではありません。
特に今回のように、借地・賃貸中・遠方にお住いのオーナー・高齢入居者という要素が重なる場合、数字だけで話を進めると、後々大きな問題になることがあります。

だからこそ、買主様にも単純な投資目線だけではなく、入居者様の生活を尊重していただけることを重要な条件として考えました。

解決の糸口になったのは「隣地との関係」

今回の取引がスムーズに進んだ大きな理由のひとつは、この物件が、以前ご相談いただいた“相続した借地の空き家”の隣地だったことです。

前回の案件では、相続した借地の空き家について、建物を売却することで更地返却よりも良い形で解決することができました。
そして今回の物件は、そのすぐ隣に位置していました。

地元で長く管理に関わっていると、物件単体ではなく、周辺とのつながりや将来的な土地利用の可能性まで見えてくることがあります。
今回も、隣地を取得された方にとって、この賃貸中の借地物件も将来的な建て替えや活用の面で意味のある土地になる可能性がありました。

そこで私たちは、単なる「売りに出して買主を探す」という一般的な流れではなく、隣地購入者への提案という形で話を進めました。

これは、どこにでもある解決策ではありません。
地域の事情、土地のつながり、過去の取引の流れを把握していたからこそ見えた出口だったと思います。

条件は明確に。「高齢の入居者様を守ること」

隣地の購入者様にご提案するにあたり、私たちが大切にしたのは価格だけではありませんでした。
今回、非常に重要な条件として共有したのが、現在お住まいの高齢の入居者様の権利を守ることでした。

売却後、所有者が変わることで入居者様が不安になってしまうようでは、本当に良い解決とは言えません。
特に高齢の方にとって、住み慣れた住まいからの移転は大きな負担になります。
だからこそ、将来的な土地利用の構想があるとしても、よほどの事情がない限り、所有者側から立ち退きを行わないという約束を交わしたうえで話を進めました。

この点は、売主様にとっても大きな安心材料でした。
「自分が手放した後、入居者さんが困るようなことにならないか」という不安は、高齢のオーナー様ほど強く持たれるものです。
その不安を取り除きながら進められたことは、今回の取引の大きな意味のひとつでした。


結果|将来の建て替え提案を前提に、即売却へ

こうした条件調整を行ったうえで、最終的には隣地購入者へ即売却となりました。


買主様にとっては、将来的な建て替えや土地活用の可能性が広がる取引となり、売主様にとっては管理負担から早期に解放される結果になりました。
さらに、入居者様に対しても、「今すぐ立ち退き」ではなく、生活の継続を前提にした形を確保することができました。


つまり今回の取引は、


・オーナー様の管理負担を解消できた
・借地物件という難しい条件の中で出口を作れた
・高齢の入居者様の権利にも配慮できた
・将来的な土地活用の提案として買主様にもメリットがあった


という、関係者それぞれにとって納得感のある形でまとまった案件でした。

地元ならではの強みが出た取引だった

今回の事例で特にお伝えしたいのは、地元ならではの強みが出た取引だったということです。

不動産の売却というと、多くの方は「相場を調べて、広く買主を探して、高い人に売る」というイメージを持たれるかもしれません。
もちろんそれも一つの方法ですが、すべての案件がそのやり方に向いているわけではありません。


特に今回のような

・借地物件
・賃貸中
・高齢オーナー
・高齢入居者あり
・管理引受先が見つかりにくい小規模物件


といった条件の案件では、単純な市場売却だけでは良い解決にならないことがあります。

地元で管理に関わり、周辺事情を把握していたからこそ、
「この隣地との組み合わせなら可能性がある」
「この買主様なら条件面も相談できる」
という提案ができました。

これは、単に物件情報だけを見ていてもなかなか出てこない発想です。
日頃から地域に根ざしていること、現場感覚を持っていること、過去の取引とのつながりがあること。
そうした積み重ねが、今回のような解決につながったのだと思います。

難しい借地案件でも、出口は作れる

借地物件は、所有権物件に比べて難しいと思われがちです。
ましてや賃貸中で、オーナー様も高齢、入居者様も高齢となれば、「もうどうしようもないのでは」と感じる方もおられるかもしれません。

ですが、不動産は条件が複雑だからこそ、物件だけを見るのではなく、人・地域・将来の使い方まで含めて考えることが大切です。
今回のように、地元ならではのネットワークや事情を活かすことで、一般的には難しく見える案件でも、しっかり出口を作ることができます。

もし今、


「もう年齢的に管理がしんどい」
「借地やから簡単に整理できへん」
「入居者さんのことを考えると強引なことはしたくない」


といったお悩みをお持ちの方がおられましたら、まずは一度ご相談ください。

難しい案件ほど、最初から答えを決めつけるのではなく、
その地域、その物件、その事情に合った解決策を一緒に探すことが大切です。

都島区で借地物件や賃貸中の不動産についてお困りの方へ。
私たちは、売ることだけを目的にするのではなく、関係者みなさまができるだけ納得できる形で解決することを大切にしています。

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