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実家処分の生前対策は必要か?売却と賃貸の比較で家族の負担を減らす方法

【相続・登記・空家】関係

田中 康寛

筆者 田中 康寛

不動産キャリア25年

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親の介護や施設入所、そして将来の相続を考えると、実家をどうするかは早めに向き合いたい大きなテーマです。
しかし、なんとなく先送りにしたまま親が亡くなり、急に空き家となった実家の処分に追われるケースは少なくありません。
そこで役に立つのが、生前対策として実家処分の方針を整理しておくことです。
売却と賃貸のどちらが家族に合っているのかを比較しながら検討しておけば、突然の入院や相続開始の場面でも、落ち着いて行動しやすくなります。
このコラムでは、実家処分の生前対策について、売却と賃貸の特徴や判断軸、家族で話し合う際のポイントを分かりやすく解説します。
自分たちにとって無理のない形で実家を守り、将来の不安を減らしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

実家処分を生前対策する必要性と空き家リスク

親が介護施設へ入所したり、病気療養で長期入院したりすると、実家が一時的な留守のつもりでも、そのまま空き家になることが少なくありません。
さらに、親が亡くなった後に相続人が遠方に住んでいる場合や、誰も住む意思がはっきりしない場合も、実家は放置されがちです。
生前に所有者の意思確認や今後の方針を決めていないと、相続が開始してから名義変更や片付け、維持管理の分担など、家族に大きな負担が集中します。
とくに兄弟姉妹の考えが揃わないと、話し合いが長期化し、結果として実家が長く空き家になってしまうおそれがあります。

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最多となっており、空き家問題は決して他人事ではありません。
空き家には、誰も住んでいない単なる「使われていない住宅」だけでなく、相続や転居などをきっかけに放置された住宅も多く含まれます。
こうした空き家を所有し続ける場合、固定資産税に加えて、最低限の管理や修繕、火災保険料など、目に見えにくい費用が長期的にかかります。
経済的な負担だけでなく、管理のために何度も現地へ通う時間的負担も、家族にとっては無視できない重荷になります。

適切に管理されない空き家は、老朽化による倒壊や外壁の落下、雑草の繁茂、不法投棄、放火などの火災リスクを高め、周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼすとされています。
こうした状況を受けて、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、市区町村が特に危険と判断した空き家は「特定空家等」として、指導・勧告・命令、最終的には行政代執行の対象となる可能性があります。
また、勧告を受けた場合には、土地の固定資産税の優遇措置が外れることもあり、放置すればするほど経済的・社会的な不利益が大きくなります。
このように、空き家問題は所有者だけの問題にとどまらず、地域社会全体の安全や景観にも影響するため、生前からの計画的な実家の扱いが重要になります。

空き家状態 家族への主な負担 周辺地域への影響
親の介護で長期留守 定期的な見回り・通院と両立 草木の繁茂による景観悪化
相続後の方針未定 名義変更や管理費の分担調整 老朽化による倒壊・落下物リスク
完全な放置空き家 行政からの指導・勧告対応 不法投棄や火災発生の懸念

実家を「売却」する生前対策のポイントと判断軸

生前に実家を売却する場合は、所有者が元気なうちに売却の流れと必要な確認事項を家族で共有しておくことが大切です。まず、不動産の登記簿で名義人や共有者の有無を確認し、誰の同意が必要になるのかを整理します。次に、住宅ローンや借入金の残債があるか、抵当権がついているかを金融機関の書面などで把握しておきます。そして、売却の時期や希望価格、売却後の住まい方針について、親の意思をはっきり言葉にしておくことが、後々のトラブル防止につながります。

実家を売却して得た資金は、親の介護費や施設入所費、老後の生活費などに充てることができ、まとまった資金計画を立てやすくなります。また、相続開始前に現金化しておくことで、将来の遺産分割がしやすくなる面もあります。一方で、売却益が出た場合には譲渡所得税や住民税がかかる可能性があるため、取得費や売却費用を整理し、課税の仕組みを理解しておくことが重要です。一定の条件を満たせば、居住用財産の譲渡に関する特別控除や、空き家に係る特別控除などの税制上の優遇が利用できる場合もあるため、事前に最新の制度を確認しておくと安心です。

実家を売却するかどうかを判断する前に、親の今後の住まいをどう確保するかを家族で十分に話し合っておく必要があります。売却と同時に引越しが必要になる場合は、新しい住まいの場所や費用、生活環境を具体的に検討します。また、長年暮らした実家には思い出の品や仏壇などの整理が伴うため、処分や引き取りの方針を事前に決めておくと負担が軽くなります。あわせて、兄弟姉妹それぞれの思いや経済状況を聞きながら、売却に賛成かどうか、売却代金の扱いをどう考えるかなどを共有し、合意形成のプロセスを丁寧に進めることが大切です。

確認・整理する項目 主な内容 家族で話し合うポイント
名義・権利関係 登記名義人や共有者の有無 誰が同意し署名押印するか
ローン・税金 残債額や固定資産税の状況 返済方法と税負担の分担
住まいと代金の使い道 親の新居確保と資金計画 介護費や老後資金への充当方針

実家を「賃貸」活用する生前対策と売却との比較

実家を賃貸として活用する場合は、まず家財の整理や不要物の処分を行い、次に必要な修繕を検討する流れになります。
そのうえで、賃料水準や募集条件を決め、入居者募集と賃貸借契約の手続きへと進めます。
入居後は家賃の受領や建物の維持管理、入居者からの連絡対応などが継続的に必要になります。
こうした手間はかかりますが、安定して入居が続けば家賃収入を得ながら実家を活用できる点が大きな利点です。

一方で、賃貸には空室期間が発生する可能性があり、その間は家賃収入が得られないことを想定しておく必要があります。
また、退去時の原状回復や設備故障への対応など、修繕費用が断続的に発生しやすいことも特徴です。
さらに、固定資産税や火災保険料といった費用は所有している限り継続して負担することになります。
売却は一度の取引でまとまった資金を得て所有から離れるのに対し、賃貸は長期的な収入と継続的なコスト・管理責任とが表裏一体になっている点が大きな違いです。

将来の相続を見据える場合には、実家を誰かが住む予定があるのか、それとも将来にわたって自宅として使う見込みが薄いのかを、まず整理することが重要です。
あわせて、建物の老朽化の程度や修繕履歴、周辺の賃貸需要などを踏まえ、賃貸として長期間活用できる状態かどうかを検討します。
さらに、相続人となる家族が賃貸経営の手間やリスクをどこまで許容できるのか、売却して資金を分ける方が望ましいのかについても、率直に話し合うことが欠かせません。
こうした観点を生前から共有しておくことで、売却と賃貸のどちらを選ぶ場合でも、家族全員が納得しやすい実家の扱い方につながります。

選択肢 主なメリット 主な注意点
賃貸活用 家賃収入による資金確保 空室と修繕の長期負担
売却 資金化と管理負担の解消 思い出の住まい喪失
空き家維持 居住や利用の選択余地 固定費負担と老朽化進行

相続を見据えた実家処分の生前対策と家族で決めておきたい方針

相続を見据えた生前対策では、まず誰が実家を相続するのか、あるいは共有にするのかという基本方針を話し合っておくことが重要です。
あわせて、将来の活用方法を売却と賃貸、親族の居住継続など複数の選択肢から検討し、どの方針であっても維持管理費や固定資産税を誰が負担するかを確認しておく必要があります。
国土交通省は空き家と所有者不明土地の増加を背景に、管理や活用を早期に検討することの重要性を示しており、家族間で早めに話し合いを始めることが、将来のトラブル防止につながります。

具体的な準備としては、不動産の登記名義と実際の所有者が一致しているかを確認し、相続登記が未了の場合は早めの手続を検討することが大切です。
法務省は、不動産登記が権利関係を公示し、取引の安全を確保する役割を持つと説明しており、名義や持分が不明確な状態を放置すると、将来の売却や賃貸が進めにくくなります。
また、実家の扱いに関する親の意思を明確にしておくため、公正証書遺言や家族信託などを活用することで、相続開始後の手続を円滑にしやすくなります。
さらに、相続した空き家を売却する可能性がある場合には、国税庁が案内する空き家に係る譲渡所得の特別控除などの税制も、事前に大まかな仕組みだけ押さえておくと安心です。

相続開始時に慌てないためには、関係する情報や連絡先を一覧にまとめ、必要な手続の流れを家族で共有しておくことが有効です。
例えば、登記簿の写し、固定資産税の納税通知書、保険証券などの保管場所を整理し、相談先となる専門家の連絡先を記録しておくと、いざというときの判断負担が軽くなります。
国土交通省や法務省は、空き家や所有者不明土地の増加を抑えるには、相続発生前からの準備が重要であるとし、相続土地を国庫に帰属させる制度なども整備しています。
こうした制度の概要を踏まえつつ、段階的に確認すべき事項を家族でチェックし、生前から計画的に実行していくことが、安心して実家処分に向き合うための大切な一歩になります。

準備の段階 主な確認内容 家族で決めたい方針
話し合いの初期 相続人と希望の把握 誰が相続するか方針
情報整理の段階 登記名義と書類確認 売却か賃貸か活用案
実行準備の段階 遺言や信託の検討 専門家へ相談する時期

まとめ

実家処分の生前対策は、空き家リスクや家族への負担を減らし、親子双方の安心につながる重要なステップです。
売却は資金確保と管理負担の軽減、賃貸は家賃収入と将来住む可能性を残せる点がメリットですが、それぞれコストや責任が異なります。
親が元気なうちに、誰が相続するか、売却か賃貸か、維持管理や費用負担をどうするかを具体的に話し合うことが大切です。
当社では、ご家族の状況や希望を丁寧に伺い、売却と賃貸の比較や相続を見据えた進め方までトータルにサポートしています。
「うちの実家はどうするのが良いだろう」とお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

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